幼なじみの双子アイドルの推しが私なんてありえない!
「お、おかえりっ」

「ただいま」



そう言いながら抱きつこうとする春馬くんをかわす私。

唯斗くんにも『おかえり』と伝える。

『お疲れ様』と言えた私もえらい!

と、心の中で褒めていると。



「偶然の“お出迎え”ありがとうな」



なんて、すべてを見透かしたような目で言うから、カチン! ときた。

だけど、唯斗くんの言うことに間違いはないので、私はうなることしかできなかった。

唯斗くんが変なこと言うから、春馬くんが『そうなの?』ってうるんだ瞳で見てくるじゃん!

私、春馬くんのうるんだ瞳には弱いのに!

まあ、春馬くんも腹黒いから、私の性格を分かっていてわざと“うるんだ瞳”をしているんでしょうね。

本当に腹黒。

俳優業、やったほうがいいよ。

私が推薦してあげたいレベルだわ。



「今日の夕飯は?」



唯斗くんが靴を脱いでリビングへ向かいながら問う。

私はその背中に向かって答える。
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