幼なじみの双子アイドルの推しが私なんてありえない!

始まる体育祭。

琴音ちゃんと何となく距離ができた日から数日。

いよいよ、明日は体育祭当日となろうとしている。

琴音ちゃんとうまくしゃべることができていないのに、体育祭楽しめるのかなぁ。



「はあ……」

「有村さん? どうかした?」

「え、あ! いや! なんでもないよ⁉」



南條くんとの早朝練習も今日が最後だっていうのに、ぼんやりと考えごとをしていた私。

いけない!

今は練習に集中しなくちゃ。

せっかく、南條くんが毎日練習に付き合ってくれているんだから、成果を出さないと!


そう思ってボールを放つが、ボールはゴールにはじかれた。


……集中できない。


琴音ちゃんの不自然な笑顔が頭をよぎって離れない。



「休憩しようか」



南條くんが気を使って私に声をかけてくれる。

私はその優しさにうなずきながら、転がっているボールを拾いに行った。

そのまま体育館の壁にもたれて座り込む。


こんなんじゃダメだなぁ。


へこむ私の隣に南條くんが座る。

大好きな南條くんが隣にいるっていうのに、テンションが上がりきらない。

彼氏が隣にいるのにドキドキしないって、本当に重症。
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