幼なじみの双子アイドルの推しが私なんてありえない!
「美羽ちゃん?」



ぼーっとしていた私に、春馬くんが不思議そうに首を傾げる。

また考えごとをしていた。

最近考えごとしてばかりだなぁ。

私は気持ちを入れ替えて、笑顔を見せる。



「最近ね、シュート決まるようになったんだよ!」



見て! と、言うように、私はゴールに狙いを定める。

ボールをかまえて、放つ。

そのボールは少しリングに当たってしまったが、なんとかゴールをくぐりぬけた。



「毎日練習していたの?」



春馬くんが問う。

私が頷くと、春馬くんは驚いた表情をする。


なんて失礼な。

私だってやろうと思えばできるのに。

少し拗ね気味の私。



「それは南條くんのため?」

「え?」

「体育祭で南條くんに良いところ見せたいから練習しているの?」

「ちが……っ、」



私を見る春馬くんの目は冷たくて。

私はハッキリと『ちがう』と言い切ることができなかった。
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