幼なじみの双子アイドルの推しが私なんてありえない!
校門に近づくにつれ、にぎわいが伝わる。

なんて言ったって、今日は体育祭なのだから!


……だけど。

学校が騒がしいのは体育祭だけが原因じゃない。


多分。

いや、確実に。



「なにあの子! 春馬くんと手を繋いでいるなんて!」

「何様のつもり⁉」

「知らないの? 同じクラスの“南條”って男子と付き合っているのに、春馬くんと唯斗くんに手を出している最低女」

「うわぁ。それって人間としてどうかと思うわ」



聞こえていますよ。

陰でコソコソ言っているつもりなのだろうけど、バッチリ聞こえていますよ。

私に聞こえているってことは春馬くんにも聞こえているんじゃ……。


恐る恐る隣を見ると、春馬くんは怒りのオーラを出していた。

春馬くん、ああいう陰口とか昔から嫌いだったからなぁ。


春馬くんがなにもしないかヒヤヒヤしていると。
< 155 / 345 >

この作品をシェア

pagetop