幼なじみの双子アイドルの推しが私なんてありえない！
「……美羽ちゃん」



今までに聞いたことがないような低い声で私の名前を呼んだ。



「……はい」



恐る恐る返事をすると、春馬くんはにっこり微笑んで私に視線を送った。

微笑んでいるけれど目が笑っていないよ⁉

しかもなんで、そんな視線を私に送るのかな⁉

意味が分からない。


そう思って見つめ返していると。



「……南條くんと付き合っているって本当？」

「え？」

「……本当なんだね」



その声は静かだけど怒りのようなものを含んでいた。

私は今まであまり感じたことのない春馬くんの雰囲気に冷や汗を流した。

別に悪いことをしているわけじゃないのに、なんで私の心臓は嫌な音を立てる。


……ていうか。

唯斗くん、私と南條くんが付き合っていること、春馬くんに言っていなかったんだ……。

春馬くんにも話していないなら、唯斗くんは誰にも言わなかったんだろう。

唯斗くんは人にペラペラ話すタイプじゃないし……。

多分、丸聞こえの陰口を言っている女子生徒たちは、他の方法で情報を入手したんだろう。
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