幼なじみの双子アイドルの推しが私なんてありえない!
「南條くん。おはよう」

「おはよう」



南條くんが私に近づいてくる。

南條くんが一歩ずつ、距離を縮めるたびに高鳴る心臓。


なにを言われるかな。

体育祭頑張ろう、とか?

ポニーテールも可愛いね、とか?

……好きだよ、とか?


って、南條くんになにを言われるのかじゃなくて、なんて言われたいか想像してしまう。

私の妄想力も凄いな。

……妄想っていうより願望だけど。


南條くんは私の前で立ち止まると、笑顔で口を開いた。



「今日のバスケの試合なんだけどさ、」

「うん?」

「葉月さんも出場することになったんだね」

「……え?」



意味が分からない。

ぽかん、と固まる私に、南條くんは不思議そうな顔をする。
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