幼なじみの双子アイドルの推しが私なんてありえない!
え。

待って、なんで?

琴音ちゃんはバレーの試合に出るんじゃないの?

バスケ苦手だって言っていなかった?

なのに、急になんで。


それに。

私、そんな話聞いてない。

琴音ちゃんからなにも聞かされていない。


……なのに。

なんで南條くんは知っているの……?


なんか、もう。

バスケの試合とかどうでもよくなっちゃったな……。


私は南條くんに『ありがとう』と呟いてから教室に向かった。

教室には既に琴音ちゃんの姿があったけれど、私は挨拶する気にもなれなかった。

一瞬、琴音ちゃんと目が合った気もしたけれど、お互い目をそらした。


体育祭なのになぁ。

あれだけ練習頑張ったのに。

やる気が急降下してしまった。


唯斗くん。

春馬くん。

ごめんね……。


頑張るって言ったのに、頑張れそうにないや。


体育祭開始までまだ時間がある。


……少し寝ようかな。


私が机に顔を伏せようとすると。



「有村さん」
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