幼なじみの双子アイドルの推しが私なんてありえない!
あ……。

そこは。

南條くんが私の目の前でシュートを決めてくれたところだ。



『もし、このシュートが決まったら、有村さんは勇気を出せるよ!』



そう言ってシュートを決めた。


でも……。

勇気を出すことは出来なかった。

琴音ちゃんに話しかけることも出来なかった。


そもそも、南條くんのシュートは100パーセント私のことを想ってくれていたシュートだったのかな。

今思えば他の理由もあった気がする。



『有村さんは葉月さんに話しかけることができるよ』



私と琴音ちゃんが仲直りすることで、教室の雰囲気を取り戻すためとか。

琴音ちゃんの明るい姿を見たいからとか。

琴音ちゃんに私から話しかけることができる、とか……。


なんだろう。

このモヤモヤした感じ……。


南條くんとの会話の中には、いつもどこか“琴音ちゃん”がいた。

私が琴音ちゃんの話ばかりするからかもしれないけれど。


でも。

琴音ちゃんの話をしているときの南條くんはなんだか嬉しそうだった。
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