幼なじみの双子アイドルの推しが私なんてありえない!
南條くんは。

本当は……。

……本気で私のことが好きじゃないのかもしれない。


そう思った瞬間。

私の頬から涙がこぼれ落ちた。

南條くんの言動を見ていたら、やっぱり、私のことは好きじゃなかったんじゃないか、と思う場面はたくさんあった。


……付き合う前。

琴音ちゃんが疲れている姿を見て、飴を渡していた。

琴音ちゃんのことを誰よりもよく見ているから、その行動ができたんだろう。


『バスケの試合に参加する』っていう琴音ちゃんの話も、琴音ちゃんから突然言われたわけじゃないだろう。

多分、琴音ちゃんは前から南條くんに相談をしていたと思う。

その相談に乗っていたから、南條くんは琴音ちゃんがバスケの試合に出ることを知っていたんだろう。


……考えたくないけど。

考えたくないけど。


南條くんの本当に好きな人は、琴音ちゃんで。

琴音ちゃんの好きな人は、南條くん……。

私が南條くんの話をするときだけ、琴音ちゃんはどこか表情を曇らせていたから……。
< 167 / 345 >

この作品をシェア

pagetop