幼なじみの双子アイドルの推しが私なんてありえない!
「美羽」


唯斗くんの言葉にハッとする。


また考えごとしていた……。

慌てて涙を拭く。


唯斗くんに泣いていたの、バレているよね……。

唯斗くんのことだから、私がなんで泣いているのかも察しているんだろう。

だけど、あえて何も言わない唯斗くんの優しさが胸に染みる。



「美羽」

「……?」



私は唯斗くんと目を合わせる。

唯斗くんは少しぶっきらぼうな口調だけど、どこか強く優しかった。



「この3ポイントシュートが決まったら、」

「うん」

「美羽は絶対に笑える」

「……っ!」



唯斗くんは微笑んでから、ゴールを見つめる。

そして、シュートを放った。


……入って!


私は願いを込めるようにそのボールを見つめた。

だけど、ボールはリングに当たって。

跳ね返された。


このままだとボールが落ちてしまうっ!


そう思った瞬間。

ゴール前に人影が現れた。
< 168 / 345 >

この作品をシェア

pagetop