幼なじみの双子アイドルの推しが私なんてありえない!
葉月さんのことなんだと思っているの?

さっき教室出て行ったのって、水樹先輩たちに泣きついていたんでしょ。

サイテー。


自分勝手な、憶測でしかない言葉は無視。

そんな時間はない。

私は琴音ちゃんと話すために戻ってきたんだ。

こんな言葉にかまっていられるもんか。



「琴音ちゃん!」



私が琴音ちゃんに聞こえるように大きな声で叫ぶと、琴音ちゃんはビクッと肩を震わせた。

目が合う。

だけど、琴音ちゃんの目は今までと違って。

琴音ちゃんの目は曇っていた。


……私が琴音ちゃんを苦しめていたんだ。

琴音ちゃんの気持ちも考えずに、自分のことばかり話して。

琴音ちゃんの話を本気で聞こうとしていなかったのかもしれない。


でも、今なら。

琴音ちゃんと向き合える。

山下さんグループが琴音ちゃんを守るように囲っている。
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