幼なじみの双子アイドルの推しが私なんてありえない!
「琴音ちゃんと話がしたいから。……通して」



私はそう言ったけれど、山下さんグループは動く気配がない。

今回の件は、琴音ちゃんと私の問題なのに。

どうして他人が介入してくるのかな。

意味が分からない。

そう思いながらも、私はどれほど睨まれても怯まなかった。



「私は琴音ちゃんと話したいの」

「……」

「琴音ちゃん!」



ああ、もう。

なんで琴音ちゃんはなにも言ってくれないの。

今更もう遅いとか思っているの?

友情に早いも遅いもないんじゃないの?

琴音ちゃんの気持ちはよく分からないけど!

分からないからこそ話したいのに!



「……じゃあ、もう、ここで話すよ」



本当は2人きりで話したかったけれど。

山下さんグループも動かないし、琴音ちゃんも反応しないし。

だったら、せめて私の気持ちを伝えたい。


でも、その前に。

私には琴音ちゃんと話す前にひとつやることがある。


私は向きを変えて南條くんの方へ体を向けた。
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