幼なじみの双子アイドルの推しが私なんてありえない!
「南條くんの本当に好きな人は、誰?」

「……っ」



無理矢理で強引な方法かもしれない。

それでもいいから、好きな人たちには笑っていてほしかった。


南條くんは一瞬目を伏せた。

クラスメイトの前で公開告白なんて、怖いし勇気がいるだろう。

だけど、大丈夫だよ。

2人の幸せは私が一番望んでいる。

保証もする。


だから。



「南條くん、頑張れ」



私は2人の背中を押すんだ。


南條くんはぐっと顔を上げた。

そして琴音ちゃんへと近づいていく。

山下さんグループも空気を呼んだのか、そっと道を作る。



「葉月さん」

「……」

「俺、本当は……、入学した時からずっと。葉月さんが好きでした」

「……っ!」

「俺と付き合ってください」



そう、頭を下げる南條くん。

琴音ちゃんは目をパチクリさせて息をのんだ。

今にも泣きそうな琴音ちゃん。

目には涙が溜まっている。

それは決して悲しい涙じゃない。
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