幼なじみの双子アイドルの推しが私なんてありえない!
こんな人がたくさん見ている中で、春馬くんに抱き着くなんて心底嫌だけど。

仕方がないよね。

怪我して動けなくなったのは私なんだから。


私が春馬くんに抱き着いていると。



「チッ」



大きな舌打ちが聞こえた。

その舌打ちしたのは唯斗くんだった。

視線を向ければそれはもう、機嫌が悪そうで。


……なんでそんなに機嫌が悪くなるのかな。

唯斗くんが分からないや。


この唯斗くんの雰囲気に耐えられなかった私。



「春馬くん。保健室まで連れて行って?」



私がそう言うと。

春馬くんは唯斗くんに向けていた視線を私に移した。

そして、にっこり微笑むと。



「上手におねだり出来たね? 可愛すぎて食べたくなる」

「⁉」

「てめっ、」



春馬くんの天然タラシな言葉に顔が赤くなる。

多分、私の顔はリンゴより赤いかもしれない。

口をパクパクさせる私に、春馬くんは満面の笑み。
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