幼なじみの双子アイドルの推しが私なんてありえない!
「……チケットです」

私は封筒に入れていたチケットを春原さんに手渡した。

封筒の中身を確認する春原さん。



「他に隠し持っているとか、ないですよね?」

「チケットはこれだけです」

「……分かりました。絶対にコンサートに来ないように」



春原さんはそう言って、玄関のドアを閉めた。


パタン。

一気に静かになるこの家。

私は玄関の前で立ち尽くすことしかできなかった。


気付けば涙がこぼれていた。

……1番近くで2人を支えようと思っていたのに。

こんな形であっさりと壊されてしまうものなの?


なんで。

なんで、私はコンサートに行っちゃいけないの?

訳が分からないよ……。


思わず私は電話をかけていた。



『美羽? 急に電話なんてどうしたの?』

「こ、琴音ちゃん……」

『美羽⁉ 泣いているの⁉』



琴音ちゃんの声を聞いて安心したのか、私は号泣した。

自分の気持ちも言葉にできないほど……。
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