幼なじみの双子アイドルの推しが私なんてありえない!
「美羽!」



ファミレスの前に着くと、琴音ちゃんは既にいて。

私に気が付くと走って抱きしめてくれた。



「大丈夫……、じゃないよね? でも、電話かけてきてくれてありがとう……っ」



琴音ちゃんは力強く私を抱きしめた。

琴音ちゃんの温もりを感じて、私は更に涙を流した。

温かい。

琴音ちゃんの存在が、とても温かく感じた。



「寒いからファミレス入ろう?」



そう言って、ファミレスの扉を開けてくれる琴音ちゃん。


……寒いから、って。

琴音ちゃんだって寒い中、ファミレスの前で私を待っていてくれたんでしょ?

抱きしめてくれたとき、琴音ちゃんの体が冷えていたのが伝わった。

それなのに、琴音ちゃんは私のことを想って待っていてくれたんだ……。


優しさが染みる。
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