幼なじみの双子アイドルの推しが私なんてありえない!
や、山下さん……。

山下さんグループが私の机の周りに集まってくる。



「幼なじみポジション、交代してほしいーっ!」

「分かるー!」

「唯斗くんも春馬くんもかっこいいー……」



乙女の目をしている山下さんたち。

あはは、と、私は苦笑い。


……芸能人の幼なじみを持つのは大変だ。

さっきみたいに、顔も名前も知らないお姉さま方に睨まれたりするから。

エンジョイ高校生活も台無しになることだってあり得るのに。


だけど、琴音ちゃんや山下さんたちは、私を“私”として見てくれる。

幼なじみがアイドルとか関係なく、私に話しかけてくれる。

それに、よくある“嫉妬からのいじめ”とかもない。

普通に声をかけてくれる。

それが嬉しい。



「会話が聞こえていたんだけど、有村さんって南條くんのこと、好きなの?」

「っ⁉」

「やっぱりーっ⁉」



きゃぁきゃぁ、と盛り上がる山下さんたち。
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