幼なじみの双子アイドルの推しが私なんてありえない!
「美羽は今でもコンサートに行きたい?」

「……行けるなら行きたいよ」



頬杖をつく琴音ちゃん。

そして琴音ちゃんは、にやりと笑った。



「行けばいいじゃん」

「……え?」

「コンサートに行けばいいじゃん」



コンサートに、って。

琴音ちゃんはなにを言っているの?

チケットも奪われちゃったのに。

今からチケットなんて取れないし。



「そんなの無理に決まっているよ……」



仮に行けたとしても、春原さんに見つかればなに言われるか分からないし。

小言や説教で終わると思えない。

最悪の場合、唯斗くんと春馬くんには二度と会えなくなると思う。


そう呟くと、琴音ちゃんは首を横に振った。



「なんか勘違いしていない?」

「……え?」

「美羽は観客として行くんじゃないの」



……どういうこと?


あ。

もしかして。



「コンサートスタッフみたいな感じ? アルバイトとして行くってこと? ……それなら!」

「甘いわね」



琴音ちゃんは、更ににやりと口角を上げた。
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