幼なじみの双子アイドルの推しが私なんてありえない!
「え?」

「美羽は、大切な人のために一生懸命な子でしょ?」



そう言って琴音ちゃんはニカッと笑った。



「私は知っているよ」



琴音ちゃんはそれ以上語ることはなかった。

だけど伝わったんだ。

琴音ちゃんが何を言いたいのか。


私は……。

右も左も見ないで突っ走ってしまう。

それは小さい頃からなに一つ変わっていなくて。

今回のオーディションだってそう。

アイドルを目指すなんて夢にも思わなかったけれど、唯斗くんと春馬くんを応援したい気持ちや、琴音ちゃんの後押しで覚悟した。

それは間違った選択じゃない。

大切な人のために自分ができること。

それを一生懸命やることが私なんだ。



「琴音ちゃん、ごめん! 私、行ってくる!」

「うん。行ってらっしゃい!」



琴音ちゃんに見送られて私は教室を飛び出した。

向かうは唯斗くんのクラス。


唯斗くん、いるかなぁ。

もしかしたらいないかもしれない。

でも、どっちでもいい。

今私にできることは、行動することだけだから。
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