幼なじみの双子アイドルの推しが私なんてありえない!
「大丈夫だよ! 私たちはただの幼なじみだから!」



そう言って笑顔で返す。

山下さんたちも『それなら良かったわ』と、安心した表情を見せる。


でも。

私の隣で、腕を組みながら立っている琴音ちゃんだけは笑っていなかった。

無表情というか。

目が笑っていないというか。

なにを考えているのか、さっぱり分からなかった。


私の視線に気が付いたのか、琴音ちゃんは少し目をそらして、なにごともないように言った。



「もうすぐホームルーム始まるから、席に戻ろう」

「えっ、もうそんな時間⁉」

「担任、怖いからやだー」



琴音ちゃんのおかげで、山下さんたちが自分たちの席に戻っていく。

だけど、琴音ちゃんは私の隣に立ったままで。

難しそうな顔をしていた。


……どうしたんだろう。
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