幼なじみの双子アイドルの推しが私なんてありえない!
「あれ? 美羽ちゃんは?」



春馬くんが私の名前を呼んでいる。


やばいっ!

早く上がらなくちゃ。


そう思って湯船から上がろうとしたその瞬間。


ガラガラッ!

バスルームの扉が開いたと思った瞬間、固まる私。

目が合ったのは。



「ゆ、唯斗くん⁉」



唯斗くんと目が合って3秒。

なにが起こっているのか理解したのは、唯斗くんが顔を背けてからだった。



「わ、わりぃ」



タオル1枚巻いていない体。

私は慌てて湯船に体を戻す。

唯斗くんに見られないように。



「なっ、なんで、入ってきたのよっ」

「風呂入りたくて。お湯が溜まっているか確認しに来たら……」



ごにょごにょと呟く唯斗くんも顔は真っ赤だった。

多分私も同じような顔をしているだろう。


唯斗くんに裸、見られちゃったじゃん……。

気まずい。



「っていうか、いつまでそこにいるのよっ!」



扉の前で固まっている唯斗くんに向かって叫ぶと。



「どうしたのー?」



春馬くんの子をも聞こえてきて。

唯斗くんの後ろから顔をひょっこりのぞかせた。
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