幼なじみの双子アイドルの推しが私なんてありえない!
「春馬、てめっ……!」



唯斗くんがガタンッと椅子から立ち上がる。

私は今起きた出来事を理解する。

多分、私の顔は真っ赤だろう。


だって今。

春馬くんに頬にキスされた……。


じゃなくて。

私の口元についているソースを、春馬くんが舐めたんだよ⁉

ぺろって!

こんなことされたの初めてだから、どうしていいのか分からないよ……。


顔を赤くしているだろう私は、今も固まったまま。

春馬くんはニコニコしているし……。

唯斗くんは……。



「……ごちそうさま」



そう言って唯斗くんは席を立ちあがった。

その感情は読み取れなくて。

だけど、少しイライラしているようにも見えた。


唯斗くんは階段を上っていく。

多分自分の部屋に戻るんだろう。

テーブルの上を見れば、半分以上残っているハンバーグが静かに置いてあった。
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