幼なじみの双子アイドルの推しが私なんてありえない!
……頑張ってハンバーグを作ったのに。


でも、それよりも。

今まで食事を残すことがなかった唯斗くんが、初めて残したこと。

それがすごくショックだった。


うつむく私の頭に、春馬くんの手がのる。



「悩み事?」



春馬くんが穏やかな声で私に問いかける。


……悩み事。

確かに唯斗くんのことで悩んでいる。

だけど、それは言えない。

いくら春馬くんでも……。



「唯斗のことで悩んでいるよね?」



春馬くんの的確な言葉にハッと顔を上げる。


なんで。

なんで、春馬くんはいつも私の心を見透かしちゃうのかな。

私には出来ないことを簡単にやってみせる。

私は春馬くんが悩んでいた時も、なにに対して悩んでいるのかまでは分からなかった。


今も。

唯斗くんが、なにを悩んでいるのかさっぱり分からなかった。


どうして春馬くんは、私の心を読むことが出来るんだろう。

不思議だった。
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