幼なじみの双子アイドルの推しが私なんてありえない!
「……春馬くんは、」

「ん?」

「どうして、私が唯斗くんのことで悩んでいるって分かったの?」



私は心の中の疑問を春馬くんにぶつける。


……私も春馬くんみたいに、人の心を読めたらいいのに。

全てを分かることは出来なくても、少しくらい、その力が欲しいよ……。


目に涙が溜まってくる。

自分の不甲斐なさに落ち込む。



「僕は、人の考えていることが全て分かるわけじゃないよ」



春馬くんは箸を置き、私の頭を優しく撫でた。

優しさが体温として伝わり、涙腺を緩ませるには十分だった。



「だけどね。大切な人がなにを思っているのか……、それはなんとなく分かる」



大切な人……。

自分にとって大切な人の感情が分かるってこと?

それなら、なんで。

私は唯斗くんが、なにに対して悩んでいるのか分からないんだろう。


唯斗くんだけじゃない。

春馬くんだって同じ。

毎日なにを考えて、悩んで過ごしているのか分からない。

唯斗くんも春馬くんも私にとっては大切な人たちなのに……。
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