幼なじみの双子アイドルの推しが私なんてありえない!
「なにか隠しているな?」

「……」

「言ってみろ」



唯斗くんの圧力は凄かった。

これはさすがの南條くんでも耐えられなかったみたいか、事実を話し始めた。



「あ、有村さんが、」

「美羽?」

「はい。バスケ部を見学したいとのことだったので、倉庫から見学してもらうことを勧めました」

「なんで倉庫なんだ?」

「部員たちの気を散らせたくないから、邪魔になりたくないから……、と」



南條くんの言葉にため息をつく唯斗くん。

そのため息は南條くんに向けてなのか、私に向けてなのか。

分からないけれど、唯斗くんは呆れている様子だった。



「分かった。これは俺が片付けるから、南條は教室に戻れ」

「……はい。すみません」



そう言って南條くんは静かに体育館を出て行った。

一瞬、私がいる倉庫を見て申し訳なさそうな顔をしていた。

……あとで南條くんにはお礼を言っておこう。
< 260 / 345 >

この作品をシェア

pagetop