幼なじみの双子アイドルの推しが私なんてありえない!
南條くんが完全に体育館から出て行った瞬間。

唯斗くんの視線が倉庫に向けられたのが分かった。


足音が近づいてくる。

やばい。

見つかる!


倉庫内はガラン、としていて隠れる場所とかないし。

私は唯斗くんに怒られる覚悟で扉が開かれるのを待った。


ガラガラッ!

倉庫の扉が開かれる。

恐る恐る視線を上げると、呆れ顔の唯斗くんが立っていた。


……あれ?

怒っていない?

絶対怒られると思ったのに。



「唯斗くん、あの……」



言い訳をしようとする私の横を通り抜けて、唯斗くんはボールたちを倉庫にしまい込む。

まるで私の存在を無視しているかのように。
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