幼なじみの双子アイドルの推しが私なんてありえない!
そんな私を追いかけてくる唯斗くん。

唯斗くんは戸惑いを隠しきれていないだろう。

唯斗くんのまとう雰囲気を背中で感じる。


スリーポイントシュートのラインで立ち止まる私。

振り返って唯斗くんを見る。

やっぱり。

戸惑いを顔に浮かべている。



「唯斗くんは、バスケが好き?」



唯斗くんに問いかける。

答えは分かりきっている質問。



「……ああ」

「バスケ部員のことが好き?」

「良い奴らだと思っている」



なにを言っているんだ?

と、言いたげな唯斗くん。

そんな唯斗くんに最後の質問。



「唯斗くんは部長をやって良かったと思っている?」

「……」



口を開きかけては閉ざす唯斗くん。

きっと、心の中に迷いがあるんだろう。


でも。

唯斗くんは『部長を辞めたい』って、一度も言わなかったから。
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