幼なじみの双子アイドルの推しが私なんてありえない!
何秒。

何十秒。

何分。

……分からないけれど、唯斗くんとのキスが長く感じた。


呼吸が苦しい。

息が出来ない。

そんな私に気が付いたのか、唯斗くんはそっと唇を離した。



「はぁっ、はぁっ……」



今まで吸い込めなかった酸素を一気に吸収しようとする私は肩で息をする。

半分涙目の私は、唯斗くんをキッと睨む。


なんで、キスなんかしたのよ……っ。

なんで、そんなに余裕そうなのよ。

なんで……っ。


そんな思いを込めて私は唯斗くんを睨むけど、唯斗くんは意地悪く笑っていて。



「その顔。……もっとしたくなる」

「んなっ⁉」



今度こそ唯斗くんから離れなければ。

そう思った瞬間。

後頭部にかけていた手を引き寄せた唯斗くん。


再びキスの雨が降り注がれる。

今度は頬、額、首筋……。
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