幼なじみの双子アイドルの推しが私なんてありえない!
「公園で練習するよ」

「えっ? 公園?」

「うん。ステージがある公園を見つけたの。そこで練習したら本番に強くなると思う」



確かに、琴音ちゃんの言うとおりだ。

公園のステージで練習できるなら、思いきりスペースを使える。

もちろん公園に人はいるから、『見られている』と、緊張に打ち勝つメンタルは強化されるだろう。

それに、審査当日のイメージトレーニングもしやすい。

私は頷いた。



「今日から公園のステージで練習する」

「了解。私も練習に付き合うよ」



そう言って微笑んでくれた琴音ちゃんは女神様。

私には強い味方がいる。

練習に追われている私の代わりに、公園も探してくれて。

オーディションの情報収集もしてくれて。

練習メニューも考えてくれて。

ここまでしてくれる琴音ちゃんには感謝しきれない。



「琴音ちゃん。ありがとう」

「なに言っているの。それを言うなら、コンサート会場に立ってからにしてよね」



そう言ってくれる琴音ちゃんのためにも、私は全力で審査に挑むことにした。

……頑張ろう。
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