幼なじみの双子アイドルの推しが私なんてありえない!
「近いうちに、その問題は解決するんじゃない?」



琴音ちゃんはそう言うけれど。

本当に解決になるのかなぁ。

唯斗くんも春馬くんも頑固だし。

考えていること、ときどき分からなくなるし。

うーん……。



「はいっ! 休憩、悩み事終わり!」



悩み続ける私の背中を叩く琴音ちゃん。

ちょっと力が強かったぞ……。

痛かった。



「練習再開するよ!」

「はいっ!」



私は手に持っていたスポーツドリンクを鞄の中に入れてステージの上に立つ。

音楽を流してくれる琴音ちゃん。

私はステップを刻む。

歌詞に合わせて歌い、踊る。

琴音ちゃんはステージの下から歌とダンスを動画に撮りながら、見てくれている。


さっきまでのモヤモヤは吹っ飛んでいた。

練習は練習。

いつまでも気にしていられないから。



「もっとメリハリ意識して!」



琴音ちゃんの指導が飛ぶ。

集中。

集中しよう。



「歌詞、聴き取れないからハッキリ歌って!」



改善点はたくさんある。

その分、自分の苦手な部分を克服できれば自信に繋がる。


第二次審査まで残りわずか。

時間がない分、一生懸命練習しよう。

私なら出来る!
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