幼なじみの双子アイドルの推しが私なんてありえない!
『これで本番頑張って』



そう言って、審査用衣装をプレゼントしてくれたのだ。

メイクも普段より頑張ったし、髪の毛もふんわり巻いた。

大丈夫。

今日の私はいつもより可愛いはず!


そんなことを思いながらリビングへ降りると。



「どこか出かけるのか?」



唯斗くんの声が聞こえた。

声のする方を見れば、唯斗くんがソファに座っていた。

同じくソファに座ってテレビを見ていた春馬くんも私の存在に気が付いたのか、私に視線を向ける。



「あ、うん。ちょっと、用事……」



今から家を出ようとしていた私。

少し大きめの鞄を肩に掛けていたからなのか、出かけることがあっさりバレてしまう。



「そんな可愛い格好してどこ行くの?」



春馬くんも目ざとい。

普段と違う雰囲気の私に眉をひそめる。

唯斗くんも睨んでいるの? と思うくらいの眼力で私を見る。
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