幼なじみの双子アイドルの推しが私なんてありえない!
「……事情までは分からないけど。分かった」



春馬くんがソファから立ち上がって私の頭に手を置く。

ぽんぽん。

春馬くんは何度も頭を撫でてくれた。

春馬くんの手のひらから体温が伝わってくる。

安心する温度。

私の涙はいつの間にか引っ込んでいた。



「美羽」



唯斗くんに名前を呼ばれたかと思えば、腕を引っ張られる私。

バランスを崩して唯斗くんの腕の中におさまる。

ソファに座ったままの唯斗くんが私を強く抱きしめる。



「頑張ってこい」



耳元でささやかれる言葉。

耳にかかる息。

少しくすぐったい。

だけど、勇気をもらえる強い言葉。
< 293 / 345 >

この作品をシェア

pagetop