幼なじみの双子アイドルの推しが私なんてありえない!
「待っているからな」



その言葉は、私を奮い立たせるのに十分だった。 
多分唯斗くんは『帰りを待っている』って言いたかったのだろう。

だけど私には。



『ステージの上で待っているからな』



……そう、聞こえた。


うん。

頑張れる。



「ありがとう」



私は2人の応援を背に、家を出ていった。



「行ってきます!」



駆け出す私。

これから第二次審査だ。

先ほどまでの緊張は消え、私の体は軽い。

背中に羽が生えたようだ。

頑張るより楽しみたい。

……そう思えた。
< 294 / 345 >

この作品をシェア

pagetop