幼なじみの双子アイドルの推しが私なんてありえない!

予想外の展開。

それから審査は順調に進んでいった。

ひとりずつステージの上に立つ。


自己紹介。

審査員へのアピール。

そして音楽が流れ、歌とダンスが始まる。


ステージ袖から見ているけれど、みんな凄い。

基礎に忠実なダンス。

だけど、それぞれアレンジを加えている。

セクシーダンスを踊る人もいれば、アクロバティックなダンスを踊る人もいる。

コスプレ衣装を身にまとった人は多分、アニメの主題歌に合わせて踊っているんだろう。

ある意味印象的だった。



「NO,9。ステージへ」



マイクを通して審査員の声が聞こえる。

私はステージの真ん中へ立つ。

緊張はするけれど、今は楽しみたい。

自分に暗示をかける。


……いける!



「NO,9! 有村 美羽です!」



声が会場中に響き渡る。

審査員は全部で5名。

ひとりひとりに挨拶をするように目を見て、自分をアピールする。



『自己アピールも大事だからね』



と、琴音ちゃんの言葉を思い出す。

自分の長所、短所を織り交ぜた、審査員方へのメッセージ。

私自信を見てもらえるように胸を張って。

審査員の方々の目は鋭いけど、見てくれている。
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