幼なじみの双子アイドルの推しが私なんてありえない!
参加者全員の披露が終わった。

あとは第二次審査の結果待ちだ。

控え室に戻された私たちは各々自由にしている。


携帯をいじっている人。

歌詞を間違えたと泣いている人。

仏頂面で椅子に座っている人。


なんだか、空気が悪いなぁ。

私はそんな控え室の空気に耐えられず、設置されていたウォーターサーバーへ向かう。

紙コップを用意し、11人分の水を入れる。

なぜ11人分か、って?

私含めた参加者10人分と、案内してくれた女性スタッフの分だ。

案内してくれた女の方がどうして控え室にいるのかまでは分からないけれど。

まあ、いいか。


人数分用意した私は、近くにあったトレーに紙コップをのせ、参加者に渡す。

無言で受け取る人。

要らない、と突き返す人。

『置いておいて』と指示する人……。


……自由な人たちだ。

審査前までは張り切っていたのに、終わったら各自自由なんて。

半ば呆れながら、私は案内してくれた方にも紙コップを渡す。
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