幼なじみの双子アイドルの推しが私なんてありえない!
「琴音ちゃん!」



ファミレスのドアを開けると琴音ちゃんの名前を叫んだ。


しまった……。

他のお客さんもいることを忘れていたよ。

お客様の視線が集中する。

琴音ちゃんも私を睨んでいるし。


『静かに入ってきなさいよ』


と、目が物語っている。


私は周囲のお客さんに頭を下げながら琴音ちゃんが座っているテーブルへ向かった。

琴音ちゃんの向かいの席に座る。

私はココアをひとつ注文して、琴音ちゃんに向き直った。



「結果はどうだったのよ……。って、聞かなくても合格か」

「えっ、なんで分かるの⁉」

「ニヤニヤしているから」

「そんなに分かりやすい⁉」

「うん」



私の表情って便利だな。

言葉がなくても伝わるんだから。

良いことなのかは分からないけれど。



「第二次審査、合格おめでとう。……美羽ならできると信じていたけどね」

「あ、それが……」

「え、なにかあるの?」



ふんわりと巻いていた髪の毛を耳に掛ける。

照れくさい。

そんな気持ちが湧いてきた。

もじもじして言葉が出ない私に琴音ちゃんは表情を曇らせていく。
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