幼なじみの双子アイドルの推しが私なんてありえない!
準備を終えた唯斗くんたちが家を出発する。



「行ってくる」

「美羽ちゃん、あとでね!」

「……いってらっしゃい!」



パタンと閉まるドア。

朝ご飯の時は一瞬どうなるかと焦ったよ……。


と、思った瞬間。

勢いよくドアが開いた。


なにごと⁉

と、思えば唯斗くんと春馬くんが戻ってきて。

私の頬に。

ちゅっ。

……キスをした。



「これで忘れ物ないね!」



再び元気よく家を出る2人。

私は玄関の前で立ち尽くすだけだった。


ふ、ふたりでキスするとか……。

あの笑顔でキスするのは反則だよ……。


私は両頬を押さえてへなへなとしゃがみこんだ。


私だってコンサート前なのに……。

最近、唯斗くんと春馬くんにドキドキすることが増えた。

もう、私の心臓の音うるさい!


玄関から動けずにいると。

次は玄関のチャイムが鳴った。


……次は春原さんかな。

私も家を出発しなくちゃいけない。


ああ、もうっ!

今朝の出来事は全部忘れて、コンサートに挑もう!


私は荷物を持ち、玄関の扉を開けた。

玄関の前には春原さんの車が停まっていた。

その車に乗った私に春原さんが一言。



「顔赤いですけど、なにかありました?」



私は笑顔で誤魔化すことしかできなかった。


もうっ。

唯斗くんと春馬くんのおバカ!
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