幼なじみの双子アイドルの推しが私なんてありえない!
「ベルプリュームのコンサートも終盤に差し掛かっています。そろそろ、ステージ袖へ移動をお願いします」

「ヘアメイク、衣装チェック終わりました。準備できました」


衣装係さんが受け答えをしてくれている。

私もなにか言わなきゃいけないのに。

これから歌うのに。

緊張でうまく歌えるかな……。



「では、行きましょう」

「……はい」



私は震える体を隠して春原さんについて行った。

どちらも口を開くことはない。

ステージ袖に近づけば近づくほど、音楽が大きくなる。

唯斗くんと春馬くんの歌声もはっきり聞こえて。

時折ファンサービスをしているのも分かる。


やっぱり2人はプロなんだな……。

私、大丈夫だろうか。


ステージ袖で足を止める春原さん。

私も足を止める。



「この曲が終わったら、有村さんの出番です」

「……はい」



頭が真っ白になってくる。

ここから見える唯斗くんたちのパフォーマンス。

ファンたちの声援。

プレッシャーを感じてしまう。


脈が速くなっている。

落ち着かなきゃ。

落ち着け、美羽……。
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