幼なじみの双子アイドルの推しが私なんてありえない!
……私を見て!

……私の歌で笑顔になって!

……もっと歓声くださいっ!



ベルプリュームのファンの人たちがペンライトを振ってくれる。

会場がいろんな色に包まれる。

ひとりひとりの顔をよく見ることは出来ないけれど。

ひとりひとりに“有村 美羽”を覚えて欲しい。

私という存在を焼き付けたい。

私という存在が誰かを笑顔にしたい。


そう願いながら歌い、踊り続けること、約5分。

曲が終わり、歓声が上がる。



『ありがとうございましたーっ!』



私は会場のファンに手を振る。

振り返してくれるファンの方々。

そして大きく頭を下げる。


応援してくれてありがとうございます。


そんな想いを込めて。

頭を上げる私。

歓声は鳴りやまず、今もペンライトを振ってくれている。

そんなファンの人たちに涙がこぼれそうだった。


ステージ全体に照明が当たる。

ステージの真ん中に歩いてくる唯斗くんと春馬くんの姿をとらえた。

目を丸くして驚いている2人。

だけど、さすがプロ。

その驚きを隠すかのように振舞っている。
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