幼なじみの双子アイドルの推しが私なんてありえない!
「……明日から仕事が忙しくなるんだ」

「そうなの?」

「うん」



春馬くんは少し表情を暗くした。

私は一瞬の表情の曇りを見逃さなかった。



「3か月後、コンサートがあって。それに向けて、本格的に準備を始めるんだ」

「そうなんだね。私も見に行くよ」

「ありがとう」



そう言って笑顔を見せてくれる春馬くんだけど、その表情は晴れやかではなくて。

せっかくの夢のコンサートだっていうのに、どこか浮かない表情をしている。


思わず、春馬くんの頬に手を伸ばす私。

春馬くんは驚いた顔をしたけれど、私の手を拒むことはなかった。



「なんかあった?」

「え?」

「表情、暗いから」



私がそう言うと、春馬くんは口角を上げて、優しく微笑んだ。
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