幼なじみの双子アイドルの推しが私なんてありえない!
「アイドルやっているのに、バスケ部部長って。……どれくらい努力しているんだろうね」

「そうだね」

「ハードだと思うよ。僕なんて、芸能活動しているだけでハードだな、って思うから」



乾いた笑いをする春馬くん。


少しだけ。

ほんの少しだけど、春馬くんの心の中を覗いた気分になった。


“比較”


その言葉が私の頭に浮かんだ。

もしかして春馬くんは、唯斗くんと比較しているのかな……。

“双子”っていう同じスタートから始まって、同じステージに立っている。

その中でも周囲から比較されることもあるだろう。

それと、春馬くんは戦っているのかな……。


なんて、思うけれど、口には出せない。

だって根拠のない話だから。

いくら幼なじみでも、すべてが分かるわけではない。

全て想像になってしまう。
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