隣の住人。
「ひな起きて」
『無理』
「じゃ、ここでお留守番な」
『無理』
やっぱり、案の定寝ていたらしく謙人に起こされた。
バイトのために起きるのが一番嫌気が差す。
最悪すぎて、気分は絶不調だった。
『けんけん』
と、
手を広げてアピールしたけど「お前それでさっき寝たんだから、また寝るだろ」と言って抱き締めてくれなかった。
意地悪。
気分は低下の一方だった。
謙人が立っていた横を素通りして徒歩5秒の家に帰ってきた。
鏡を見たら、髪はボサボサだった。
それに、顔が死んでいた…
『…やばい、この顔にこの髪型』
けど、時間が時間だったから軽く直して行こうと玄関に向かうと突然謙人が入ってきた。
それも、わざわざ靴まで脱いで、私の方へ歩いて抱きついてきた。
今更?
と、思いながらも嬉しくて私も抱きついた。
「機嫌治った?」
『別に、機嫌悪くない』
素直になれず、嘘をついたけど…謙人にはバレバレすぎて笑われた。