隣の住人。
みんなのテントのところに帰るつもりが、迷ってしまい帰れずにいた。
こんな、フラフラして…周りから見ればナンパして下さいみたいなもの。
スマホだけでも、
ちゃんと持ってくれば良かったなと思った。
私の記憶では、ここの海の家に近かったはず…と思いながら、緑のテントを探した。
目を凝らして、見ていると…
突然、後ろから誰かに腕を掴まれた。
恐怖だった。
早く、いなくなってほしい…
『ぃや…』
触られるとやっぱりダメみたい…
必死に振り払おうとするけど、離してくれない。
頭が真っ白になりながらも、後ろを振り返ったら謙人だった。
『…びっくりした』
「ナンパされに行ったの?」
『トイレ!』
「馬鹿なの?」
『女の子と楽しそうに話してたから、話しかけない方がいいかなと思って』
と、
嫌味っぽく言わなきゃ気が済まなかった。