隣の住人。
謙人はあまり気にしていなそうだから、顔色を伺いながら施設の事を聞いてみた。
それなりに緊張はしたけど、少しでも謙人の事を知りたくて聞かない選択肢がなかった。
『何歳から施設にいたの?』
「12歳!」
『入った理由は知ってるの?』
「親が事故で死んで、親戚に引き取られたんだけど…その親戚から虐待みたいな?」
え、
虐待ってこの世の中に存在する話なの?
テレビの中だけの話しかと思っていたけど…そうでなく現実に起こっていた。
それも、こんな身近で…
なかなか悲しすぎる現実だった。
謙人が小学4年生、10歳と時に両親が事故死。
交通事故だったという。
警察は自殺と認定。
その後、いろいろな実況見分で加害者が自殺をしようと謙人の両親の元へ車を突っ込んだ事故となった。
加害者も亡くなり、
この事故で3人の命がなくなった悲しい事故。
事故後は、両親の遺体が形を成していなかったため見せてもらえなかったという。
謙人が両親に会えたのは学校前が最後。
「行ってきます」
「行ってらっしゃい」が最後の会話。
「何気ない会話だけど、凄い覚えてる」