隣の住人。





いつもは長く感じるこの時間も、今日は何だかあっという間に感じた。




むしろ、

お風呂から出てきて来ないで欲しかった。





でも、そんな事不可能な話で…謙人がパンツ一丁でお風呂から帰ってきた。




寒いんだから、早く着なさい!

と、思うけど…言いたくても声が出なかった。




ベッドで横になっている私の腰に手を回し、引き寄せてきた。

私はうつ伏せになって壁の方に顔を向けて、スマホをいじっていた。





「ひな、俺は寝るよ」

『おやすみ〜』

「体調悪いの?」

『何で?』

「いつもと違うから」

『いつも通り』

「ひな、こっち見て」

『やだ』

「鍵忘れたからショックだったの?」





何で、こんな時さえも優しいの?

もう少し突き放して、怒ってもいいんだよ。




これ以上好きにさせて、何がしたいの。




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