隣の住人。




「占いでもしてきたの?俺が浮気したとでも言われてきたの?」

『違うよ』

「じゃ、何?正直に言わないと怒るよ」

『怒って。少しは謙人の事を嫌いになりたい』

「嫌いになる必要あるの?」

『あるの』





私は我慢出来ず、謙人の前で泣いてしまった。



重い。

そう思われても仕方ない。



涙が止まらなくて、自分が自分でいられなかった。





「誰かに会ったの?」

『謙人のバイト先に行った時に女の子と話してる謙人が私の知ってる謙人じゃなくて…』

「何それ」

『女の子は謙人が好きそうだし…』

「あいつ、彼氏いるし…俺に彼女がいる事も知ってるし」

『彼氏がいても、彼女がいる事を知ってても奪う子はいるんだよ』

「ひな、奪われそうなの?」

『謙人の気持ちが揺るぎそうで不安なの』

「俺の気持ちがそんなに軽いの?」

『軽そう』

「ひなはそんな程度だったのか、ショックだな」




そう言った謙人だけど…ショックだと感じている様子は無さそう。



私を弄んでいるの?

泣いている私を、笑って見てくる最低なやつ。






< 249 / 370 >

この作品をシェア

pagetop