隣の住人。
「本当の俺はひなが見てる姿だから。勝手に不安になって馬鹿なの?」
『馬鹿なの』
と、
言って泣きながら謙人を叩くと笑われた。
笑ってもいいから、いつまでもこんな私を好きでいてほしい。
謙人は泣いている私にティッシュの箱を渡してきた。
優しく、拭いてくれるとかないの?
そういうところが、嫌いになれないところ。
謙人と話している間に、外は明るくなっていて…カーテンから日差しが入ってきていた。
『ひなは寝る』
「俺も寝るから」
『どっちが早く寝られるかな』
泣く前の不安はどこかに消えて、謙人と抱き枕のように抱き合って目を閉じた。
外は寒いはずなのに…
謙人の腕は心地よく暖かくてすぐに寝入った。