隣の住人。
15-
リビングに行き、じいじの話をママにしたら微妙な反応をされた。
何か、あったのかな…
あまり家にいない私が図々しく聞くのはどうかと思うけど、聞かずにはいられなかった。
『何かあったの?』
「ん〜最近、体調があまり良くないのよ」
『病院行ったの?』
「行ってるの」
『隠さないで話してよ、たまにしか帰ってこられないんだし…』
怖いけど、聞かない方が怖いと思った。
東京にいる時に聞くよりは、今聞いた方がまだ心の整理はつきそうだから…
「癌なのよ」
癌?って…病気のやつ?
人の死亡率が1番高いあの病気なの?
じいじが死んだわけじゃないけど…涙が止まらなくてその場に座り込んで泣いてしまった。
『手術するの?』
「するんだけど、全て摘出出来ないの」
『何で?』
「神経に触ると動けなくなるから、それは避けたいって事でそこは残す事になったのよ。それはじいちゃんがそうしたいって…」
帰ってくることを悩んでいた数時間前の私を殴ってあげたいくらい。
これからは、
寂しいとか言っている場合ではなく…
連休があったら、帰って来なきゃいけないと思った。
なかなか、謙人のことを優先しちゃうけど…じいじが生きている間だけでもじいじ孝行しなきゃいけない。