隣の住人。
振り返ってみればいつもと違う雰囲気でいた気がする。
今思えば、の話だけど…
今日は朝から違和感を感じる程に傍にいて、甘えてくる時間が長かった気がする。
謙人なりに何かを考えていたのかな…
何も気づかなくて、申し訳ない気持ちになった。
不安そうな謙人を抱きしめたかったけど、こんな道の真ん中では難しいから私の精一杯の力で手を握った。
『毎年行ってるの?』
「施設から出てからは」
『そうなんだ』
「誰か連れていくのが初めて」
『え、そうなの?いつも1人で行ってたの?』
「そう、気遣うじゃん?」
『そんな事ないよ』
いつも、両親と秘密の話をしているのかな。
それにしても、
初めて連れて貰えるなんて嬉しかった。
直接は会えないけど、謙人のご両親に会える気がして…少し緊張気味です。