隣の住人。
戻ってきた道を戻り、両親が眠るお墓に向かっていた。
さっきまでは、謙人が引いてくれていたけど、今は完全に私が謙人を引いて歩いていた。
向かっている今も、
謙人の小さな抵抗は続いていて…
被っていた帽子を深く被って、下を向いて歩いてたから表情が上手く汲み取れなかった。
『ママとパパが謙人の顔みたいって言ってるんじゃない?』
「…帰りたい」
『ママとパパに会わなくていいの?』
正直、
こんな弱々しい謙人は初めて見た気がする。
昔の事が色々と謙人の頭の中で駆け回っているのかな。
私は、それ以上何も言えず…
帰ろうとする謙人について行く事しか出来なかった。
『また違う日に来よう』
と、
話しながら出口方面へ歩いている時だった。
後ろから謙人を呼んでいる女の人の声が聞こえた。